‘海外現場(現地法人・現場事務所)の会計とIFRS’ カテゴリーのアーカイブ

海外現場(現地法人・事務所)の管理に必要なシステムの機能②

2010年11月30日 火曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回は前回に引き続き、海外現場を管理するためのシステムとして必要な機能を説明します。 

4.機能通貨対応/現地申告対応(PE対応) 

IFRSでは機能通貨という概念があり、海外現場の元帳を現地の通貨でも円でもないUS$などの第三の通貨で記帳することが必要になる場合があります。連結財務諸表を作成する場合は、この第三の通貨の元帳から作成した財務諸表を円に換算して、連結財務諸表作成手続きを実施することになります。 
また、海外現場が恒久的施設(PE)に該当する場合は、現地での法人税の申告が必要となります。この場合は現地通貨で元帳に記帳して現地通貨の財務諸表を作成する必要があります。 
例えば東南アジアの会社で機能通貨がUS$であり、申告が必要な場合はこのように二つの通貨の元帳が必要となります。

JNo16 図5

このことから、会計システムには次の機能が必要となります。
(1) 現地通貨でも円でもない通貨の元帳を作成する機能
(2) 一つの会計取引から二つの別の通貨の元帳に記帳する機能、又は、月次等で一つの通貨の元帳から別の通貨の元帳を作成する機能(一括変換して元帳を作成)

No16 図6

5.本社への報告と内容分析 

海外現場の情報をタイムリーに把握し、連結ベースの財務会計及び管理会計を実施するため、または為替リスクを把握し、対応措置を実施するために、会計データをスムーズに収集し分析するための機能が必要となります。具体的には
(1)  仕訳明細データおよび勘定科目ごとの残高データを原取引通貨と元帳通貨ごとに収集する機能
(2)  勘定科目が統一された形式でデータを収集するする機能(勘定科目の統一または変換)

JNo16 図7

海外現場(現地法人・事務所)の管理に必要なシステムの機能①

2010年11月25日 木曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回からは、前回までに説明した次の内容を踏まえて、海外現場を管理するためのシステムとして必要な機能を2回に分けて説明します。 

1.多通貨・多言語・多拠点対応のシステム 

海外現場毎に異なる会計システムを導入することは、なるべく避けるべきと考えられます。本社への報告内容のレベルと報告のタイミングをコントロールし、かつ導入コストを低く抑えるためには、当然のこととして、各現場に同じ会計システムを導入することが望まれます。 

このことから、会計システムには次の機能が必要となります。

(1)「多通貨」・「多言語」・「多拠点」に対応した機能
JNo15 図1

2. 為替リスクと回避方法に対応したシステム 

為替リスクを管理するためには、債権債務に関して、「債権or債務の区分、通貨種類、決済日別の外貨建金額」を迅速に把握できる必要があります。必要な管理資料としては次の項目の資料が必要となります。No15 図2

JNo15 図3

3. 現地通貨での記帳と円への換算

 海外現場の会計の必要な機能として、「元帳への記帳」と「換算」があります。
在外支店の場合は最初から元帳を円で記帳することも考えられますが、通常は現地通貨で記帳し、財務諸表を円換算することになります。
換算については、将来のIFRSの導入を視野に入れて、外貨建取引等会計処理基準では認められている換算方法であってもIFRSでは認められていない場合がありますので、外貨建取引等会計処理基準とIFRSの両方の換算方法に対応できることが望まれます。

 例えば、IFRSでは海外営業活動体の損益項目は期中平均レートでの換算が必要です。外貨建取引等会計処理基準では、在外子会社等で重要性が乏しい場合に決算時レートが認められていますが、IFRSでは認められていません。 

また発生時レートの許容範囲がことなっています。
このことから、会計システムには次の機能が必要となります。
(1)仕訳明細単位または勘定科目ごとの勘定残高単位で換算レートの種類を変えられる。
(2)換算レートの種類が発生日レートの場合に、複数の概念(取引日レート、前月平均レート、など)から選択できる

No15 図4

回はここまでとします。次回は機能通貨対応/現地申告対応(PE対応)の説明から始めます。

JV(Joint Venture)の会計処理(IFRSの会計処理)

2010年11月22日 月曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。前回に引き続き、JVの会計処理のうち、IFRSの会計処理について説明します。IFRSの関係する基準は以下のとおりです。 

  •   IAS第27号「連結及び個別財務諸表」
  •   IAS第28号「関連会社に対する投資」
  •   SIC第12号「連結-特別目的事業体」
  •   IAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」 

日本の会計処理は前回に説明しましたが、再度、最も大きな考え方を記載します。 

1.日本のJVの会計処理の考え方

スポンサー企業を含めて各構成員企業は、それぞれが単独で工事を施工している場合と同様に会計処理を行う。
つまり、JVを民法上の組合として認識しているため、個別の組織体として認識、連結や持分法による手続きを行うのではなく、構成員企業の単体決算に単独で工事を施工している場合と同様に取り込まれています。

JNo14 図1

2.IFRSの会計処理の考え方 

これに対して、IFRSではJVが法人格の有無にかかわらず、次の流れで会計処理の考え方が決まります。
① JVを支配しているか?(IAS第27号)
→支配が認められる場合は連結

② JVを支配していない場合、重要な影響力があるか?(IAS第28号)
→重要な影響力が認められる場合は持分法

③ JVを支配していないし、重要な影響力もない場合、共同支配が認められるか?(IAS第31号)
 →共同支配が認められる場合は比例連結または持分法

 流れ図にすると次の通りです。

No14 図2

JNo14 図3

日本の会計処理とIFRSの会計処理を連結財務諸表における工事収益・工事原価・利益・資産・負債の計上の観点から比較すると以下のようになります。

(1)共同施工方式で表JVのスポンサー企業・サブ企業の場合、裏JVのサブ企業の場合

No14 図4
(*1)IFRSの連結包括利益計算書では非支配株主持分(少数株主持分)に帰属する損益も純利益に含めているため、連結対象となった場合は、工事収益と工事原価及び結果としての利益は全額、連結財務諸表に計上されることになります。 

(2)共同施工方式で裏JVのスポンサー企業の場合
 JNo14 図5
(*1)IFRSの連結包括利益計算書では非支配株主持分(少数株主持分)に帰属する損益も純利益に含めているため、連結対象となった場合は、工事収益と工事原価及び結果としての利益は全額、連結財務諸表に計上されることになります。

JV(Joint Venture)の会計処理(日本の会計処理)①

2010年11月18日 木曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回は前回に引き続きJVに関する日本の会計処理について説明します。次回にIFRSの会計処理について説明します。 

4.JVの会計処理の考え方 

スポンサー企業を含めて各構成員企業は、それぞれが単独で工事を施工している場合と同様に会計処理を行う。つまり、JVを民法上の組合として認識しているため、個別の組織体として認識、連結や持分法による手続きを行うのではなく、構成員企業の単体決算に単独で工事を施工している場合と同様に取り込まれています。

No13 図7

(1)共同施工方式と分担施工方式の違い

JNo13 図8

No13 図9

 (1)  共同施工方式の場合の記名施工方式(表V)と協力施工方式(裏JV)の違い

スポンサー企業

No13 図10

どちらの方式でも利益はかわりません。

 

サブ企業

記名施工方式(表JV)であっても、協力施工方式(裏JV)であっても会計処理に違いはありません。

 

具体例

工事収益合計額(工事請負額):100百万円

工事原価合計額:70百万円

出資比率:スポンサー企業60%、サブ企業40%

                         

(*1)サブ企業の工事収益額が加算されている。

どちらの方式でも利益はかわりません。

 

サブ企業

記名施工方式(表JV)であっても、協力施工方式(裏JV)であっても会計処理に違いはありません。

 

具体例

工事収益合計額(工事請負額):100百万円

工事原価合計額:70百万円

出資比率:スポンサー企業60%、サブ企業40

 

JNo13 図11
(*1)サブ企業の工事収益額が加算されている。

No13 図12

1.出資金の会計処理 

JVは材料費、労務費、外注費、経費が発生するが、その資金は出資金として調達される。各構成員企業は出資割合に応じて原価を負担することになっており、サブ企業の負担額はスポンサー企業からサブ企業に請求が行われます。 

JVはJV全体の原価を材料費、労務費、外注費、経費などの区分ごとに工事原価台帳に集計し、各構成員企業は、それぞれの構成員が負担する原価を、サブ企業の場合はスポンサー企業からの請求に応じて、工事原価台帳に集計します。 

各構成員企業は工事原価台帳に基づき、未成工事支出金として会計処理します。 

なおスポンサー企業は記名施工方式(表JV)か協力施工方式(裏JV)かにより、未成工事支出金として会計処理する金額が異なります。

JNo13 図13   

以上が日本のJVに関する会計処理の現状です。詳細な論点は多数ありますが、それは別の機会にします。

                      

JV(Joint Venture)の会計処理(日本の会計処理)①

2010年11月16日 火曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回は建設業の会計では避けてとおれない、JVに関して説明します。JVの会計処理について、今回は日本の会計処理について2回に分けて説明し、その次の回にIFRSの会計処理について説明します。 

1.建設業におけるJVとは? 

建設業において、複数の建設業者が構成員となり、一つの工事を施工する場合が多々あります。この場合にJVが組成されることになります。JVの組成の理由は危険分散や資金負担の問題などのようです。JVは実態から民法上の組合に該当すると考えられています。

JNo12 図1

JVには共同施工方式(甲型共同企業体)と分担施工方式(乙型共同企業体)があります。共同世施工方式(甲型)は共同で施工する方式であるのに対して、分担施工方式(乙型)は各構成員が工事個所別に分担してそれぞれ施工する方式となります。分担施工方式であっても各構成員は工事全体に対して連帯責任を負うことになります。甲型乙型の出資と分配方法は次の通りです。

No12 図2
(国土交通省ホームページより) 

(2)記名施工方式と協力施工方式

JNo12 図3

No12 図4

3.構成員の種類

 (1)  スポンサー企業とサブ企業

JNo12 図5

No12 図6

今回はここまでとします。次回はJVの会計処理の考え方の説明から始めます。

恒久的施設(Permanent Establishment)課税

2010年11月11日 木曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回は、海外現場の会計では避けてとおれない、恒久的施設(Permanent Establishment)課税に関して説明します。 

1.現地法人と支店等の税務上の違い 

海外に現地法人を設立した場合は、現地の法人税が課せられますが、支店等の場合は、恒久的施設(PE)に該当するか否かで、法人税の課税の有無がきまります。今回は恒久的施設(PE)課税の話ですので、現地法人の場合は関係ありません。支店、事務所、工場などが対象となります。恒久的施設と認定された場合は現地で申告作業が必要となります。

JNo11 図1

No11 図2

2.課税関係はまず租税条約で確認

 

 支店等について現地で課税されるか否かについては、まず、当事者二国間の租税条約が締結されている場合は、租税条約で確認し、締結されていない場合は、現地の税法で確認することになります。租税条約は財務省のホームページによると、平成22年5月末現在、47条約が締結されており、58カ国で適用されているとのことです(旧ソ連等との条約が継承されているため条約数と適用国数が異なる)。主要な国とは租税条約が締結されていると考えていいようです。詳細は財務省のホームページを確認ください。http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/182.htm

JNo11 図3

3.恒久的施設とは 

日米租税条約における恒久的施設の規定は次のとおりです。 

(1)  定義
事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所

(2)  例示
「事業の管理場所」、「支店」、「事務所」、「工場」、「作業場」、「鉱山、石油又は天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所」

(3)  期限がある工事現場
工事現場、工事は12ヶ月を超える場合は恒久的施設にみなされる

(4)  恒久的施設に含まれないもの
自社の物品又は商品の保管、展示、引き渡しのためのみに使用すること。
自社の物品又は商品の保管、展示、引き渡しのためのみに保有すること。
自社の物品又は商品を他の企業が加工するためのみに保有すること。
物品又は商品の購入、情報の収集のためのみに一定の場所を保有すること。
企業の準備的又は補助的な性格の活動を行うためのみに一定の場所を保有すること。

(5)  代理人
契約締結権限を有する代理人も恒久的施設とみなされる。ただし、仲立人、問屋その他の独立の地位を有する代理人を通じて行う場合は、恒久的設備とはみなされない。

 No11 図4

(参考:日米条約の恒久的施設の規定の和文)

第五条

1 この条約の適用上、「恒久的施設」とは、事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部又は一部を行っている場所をいう。

2 「恒久的施設」には、特に、次のものを含む。

(a)事業の管理の場所

(b)支店

(c)事務所

(d)工場

(e)作業場

(f)鉱山、石油又は天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所

3 建築工事現場、建設若しくは据付けの工事又は天然資源の探査のために使用される設備、掘削機器若しくは掘削船については、これらの工事現場、工事又は探査が十二箇月を超える期間存続する場合には、恒久的施設を構成するものとする。

4 1から3までの規定にかかわらず、「恒久的施設」には、次のことは、含まないものとする。

(a)企業に属する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみ施設を使用すること。

(b)企業に属する物品又は商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること。

(c)企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のためにのみ保有すること。

(d)企業のために物品若しくは商品を購入し又は情報を収集することのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。

(e)企業のためにその他の準備的又は補助的な性格の活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。

(f)(a)から(e)までに掲げる活動を組み合わせた活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。ただし、当該一定の場所におけるこのような組合せによる活動の全体が準備的又は補助的な性格のものである場合に限る。

5 1及び2の規定にかかわらず、企業に代わって行動する者(6の規定が適用される独立の地位を有する代理人を除く。)が、一方の締約国内で、当該企業の名において契約を締結する権限を有し、かつ、この権限を反復して行使する場合には、当該企業は、その者が当該企業のために行うすべての活動について、当該一方の締約国内に恒久的施設を有するものとされる。ただし、その者の活動が4に掲げる活動(事業を行う一定の場所で行われたとしても、4の規定により当該一定の場所が恒久的施設とされない活動)のみである場合は、この限りでない。

6 企業は、通常の方法でその業務を行う仲立人、問屋その他の独立の地位を有する代理人を通じて一方の締約国内で事業を行っているという理由のみでは、当該一方の締約国内に恒久的施設を有するものとされない。

7 一方の締約国の居住者である法人が、他方の締約国の居住者である法人若しくは他方の締約国内において事業(恒久的施設を通じて行われるものであるか否かを問わない。)を行う法人を支配し、又はこれらに支配されているという事実によっては、いずれの一方の法人も、他方の法人の恒久的施設とはされない。

機能通貨以外のIFRS外貨換算のポイント(在外営業活動体の処理)

2010年11月9日 火曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回はIFRSを構成する基準のうちIAS第21号「外貨為替レート変動の影響」の内容のうち機能通貨以外のポイント(在外営業活動体の処理)に関して説明します。 

1.財務諸表の換算(主として在外営業活動体の財務諸表の換算)とは 

まずは、機能通貨と表示通貨について定義を記載しておきます。なお機能通貨については以前のブログ(機能通貨(IAS第21号「外貨為替レート変動の影響」))で詳細に記載していますのでそちらも参考にしてください。 

用語定義

機能通貨:企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨(元帳の記帳の通貨)

表示通貨:財務諸表が表示される通貨  

親会社や国内子会社であっても機能通貨と表示通貨が異なる場合は、機能通貨から表示通貨の換算をする必要があります。そのため、在外営業活動体だけの問題ではないが、主として利用されるのは在外営業活動体の財務諸表の換算に関してとなります。

JNo10 図1

2.財務諸表の換算レート

(1)IFRSの換算レート

No10 図2

(2)日本の外貨建取引等会計処理基準の換算レート

在外支店

JNo10 図3
(注)たな卸資産に係る低価基準等について
たな卸資産の低価法または評価減を適用する場合は、外国通貨による時価又は実質価額を決算時の為替相場により円換算した額による。

 在外子会社等

No10 図4
(注)親会社との取引の収益・費用の換算
親会社の換算相場による。

比較してみると次のようになります。

JNo10 図5

No10 図6

3.換算差額の処理

 

(1)  IFRSの換算差額の処理

換算差額はその他包括利益(為替換算調整勘定)を通して資本の部で認識する。

 

(2)  日本の外貨建取引等会計処理基準の換算差額の処理
在外支店
本店と異なる方法(特例)で生じた換算差額は当期の為替差損益とする。

在外子会社等
換算差額は為替換算調整勘定として貸借対照表の資本の部に記載する(資本直入)。 

比較してみると次のようになります。

JNo10 図7

No10 図8

機能通貨以外のIFRS外貨換算のポイント(本店・国内支店の処理)②

2010年11月4日 木曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回は前回に引き続き、IFRSを構成する基準のうちIAS第21号「外貨為替レート変動の影響」の内容のうち機能通貨以外のポイント(本店・国内支店の処理)に関して説明します。

 2.発生時レート
発生時レート(取引日レート)としては、どこまで許容されているかを記載します。

 (1)IFRSの発生時レート(取引日レート)No9 図8

(2)日本の外貨建取引等会計処理基準の発生時レート(取引日レート)

取引が発生した日における直物為替相場または合理的な基礎に基づいて算定された平均相場
例:
前月平均レート又は前週平均レート
前月末レート、前週末レート、当月初日レート、当週初日レートでも可

比較してみると次のようになります。

No9 図9

前月平均レート又は前週平均レートを使用している場合は、差異はありませんが、為替レートの変動が著しい場合は、IFRSでは当日の為替レートを適用する必要がります。

 No9 図10

2.決済差額・換算差額の処理

(1)IFRSの決済差額・換算差額の処理

No9 図11

IFRS第9号では金融資産分類と測定は以下のとおり。

No9 図12

(2)日本の外貨建取引等会計処理基準の決済差額・換算差額の処理

No9 図13

比較してみると次のようになります。

No9 図14

No9 図15

機能通貨以外のIFRS外貨換算のポイント(本店・国内支店の処理)①

2010年11月2日 火曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回はIFRSを構成する基準のうちIAS第21号「外貨為替レート変動の影響」の内容のうち機能通貨以外のポイント(本店・国内支店の処理)に関して今回と次回の2回にわけて説明します。 

 今回からポイントとなる事項についてはポイントマークをつけています。参考にしてください。

    ポイントマーク

        No8 図1

日本の外貨建取引等会計処理基準の場合、換算方法については、「本社・国内支店」、「在外支店」、「在外子会社等」の3区分で規定されていましたが、IAS第21号「外貨為替レート変動の影響」では「在外支店」と「在外子会社等」の区別はなく、「在外営業活動体」として換算処理が規定されています。(日本基準についての詳細は以前の記事「外貨建取引等の会計処理のポイント(本社・国内支店の会計処理と為替予約の会計処理)」と「外貨建取引等の会計処理のポイント(在外支店・子会社等の会計処理)」を参照してください。)

No8 図2

No8 図3

1.換算レート

(1)IFRSの換算レート

No8 図4

(2)日本の外貨建取引等会計処理基準の換算レート

No8 図5

比較してみると次のようになります。

No8 図6

(*1)IFRSでは公正価値で測定されないものについては、取得時レートで換算されますが、日本基準では、その他の有価証券に該当するものは決算時レートで換算されます。このため、IFRSで合理的な公正価値が測定できないことにより、取得原価で計上されている外国株式は、換算レートが異なることになります。なお2013年1月1日以降に開始する事業年度からは、IFRS第9号が適用されるため、外国株式は公正価値測定されることになります。

 No8 図7

今回はここまでにしておきます。次回は、発生時のレートの説明からはじめます。

機能通貨(IAS第21号「外貨為替レート変動の影響」)

2010年10月26日 火曜日

皆さん、こんにちは。公認会計士の木戸です。今回はIFRS(国際財務報告基準)の海外現場(現地法人・現場事務所)の会計で最もキーとなるポイントである機能通貨について記載します。今回記載する機能通貨は、IFRSを構成する基準のうちIAS第21号「外貨為替レート変動の影響」で定められている内容です。

 最初にIFRSについて簡単に説明します。 

IFRS(国際財務報告基準)とは
International Financial Reporting Standard(国際財務報告基準)

1.IASB(国際会計基準審議会)が設定するIFRSとIASBの前身であるIASC(国際会計基準委員会)が設定したIAS(国際会計基準)をあわせてIFRSという。
2.既に100カ国以上がIFRSを適用又はIFRSに準ずる自国基準を適用
3.適用国の事例は以下の通り
  ・2005年:EU、オーストラリアが適用
  ・2007年:USがIFRSによるファイリング容認
  ・2010年:ブラジルが適用
  ・2011年:カナダ、韓国、インドが適用
  ・2011年:USが適用を決定(移行2015年~2016年)
  ・2012年:日本が適用を決定(移行2015年~2016年)

4.世界の会計基準がIFRSに収束されていく予定 

IFRSの基準書の体系
No6 基準書の体系

 さて本題の機能通貨について説明します。これは海外進出している企業に相当に大きな影響を与える可能性がある例です。
 海外に生産拠点を置いている企業は多いと思います。その場合に製品販売の取引も原材料仕入の取引もUSドル建で取引しているという企業も多いのではないでしょうか。また、建設業でも、東南アジアの現場(現地法人化)の受注工事費も、下請工事費も、資材の仕入もUSドル建てという例は多々あると思われます。例えば以下の事例です。

 東南アジア現場(現地法人)の元帳は現地通貨建?
No6 東南アジアの元帳は

現地の従業員には現地通貨建で給料を支払っているとします。
 この場合、東南アジアの現場(現地法人)の元帳の記帳通貨は何になるでしょうか?普通に考えれば、現地の通貨だと思うでしょう。当然、現地での申告が必要ですから、現地通貨建の元帳は必要なはずです。もし、この現地法人もしくは親会社がIFRSによる財務諸表を作成するためには、現地通貨建の元帳のほか、USドル建の元帳が必要になる可能性が高くなります。それはIFRSに機能通貨という概念があるからです。

IFRSの機能通貨とは? 

 機能通貨とは何でしょうか?また機能通貨の決定のときに検討する要因はなんでしょうか? 

1.機能通貨
企業が営業活動を行う主たる経済環境での通貨。各社(親会社・子会社)毎に機能通貨を決定し、当該機能通貨で記帳しなければならない。

2.機能通貨の検討要因
(1)  主たる検討要因
①   財貨及び役務の販売価格に大きく影響を与える通貨。
②   ある国において競争相手や規制が存在することにより、それらが財貨と役務の販売価格を主に決定している場合は、当該国の通貨。
③   財貨や役務の提供するために費消される労務費、材料費、その他の原価に主に影響を与える通貨。

(2)  追加的検討要因
上記の主たる検討要因では機能通貨を決定できない場合は、次の2点も考慮する。
①   借入や株式発行等の財務活動により資金が創出される時の通貨
②   営業活動からの受取金額が通常、留保される通貨

(3)  在外営業活動体(現地法人、海外支店、海外事務所、ジョイントベンチャー)の検討要因
在外営業活動体が親会社の機能通貨と同じかどうかの判断には次の4点を考慮する。
①   在外営業活動体の事業がかなりの自主性をもって営まれているかどうか。それとも会社の延長線上で営まれているかどうか。
②   在外営業活動体の事業活動の多くが、親会社との取引であるかどうか。
③   在外営業活動体の活動からのキャッシュフローが親会社のキャッシュフローに直接影響を与え、すぐに送金できるようになっているかどうか。
④   在外営業活動体の活動からのキャッシュフローだけで、親会社からの資金援助がなくとも、既存の債務および通常予定される債務の返済に十分かどうか。 

 在外営業活動体の検討要因の検討結果によりますが、前述の東南アジアの現場(現地法人)の場合、USドル建ての元帳を作成することが必要になる可能性が十分にあると考えられます。この場合、IFRSに準拠した財務諸表を作成する上では、USドル建の元帳に記帳し、その元帳からUSドル建の子会社の財務諸表を作成し、そこから、連結財務諸表作成の過程で、親会社の財務諸表の表示通貨である円に換算するということになります。 

(元帳記帳・財務諸表作成・連結財務諸表作成の流れ)
  No6 元帳記帳の流れ1

機能通貨の検討が必要な拠点は、海外営業活動体(現地法人、海外支店、海外事務所、ジョイントベンチャー)だけではありません。親会社自体も必要となります。親会社が商社で、販売も仕入もUSドル建という会社があるかもしれません。その場合は親会社の機能通貨が円ではなくUSドルになる場合もあり得ます。 

機能通貨≒現地通貨の場合
 機能通貨≒現地通貨の場合は、現地通貨建の元帳を作成することに替えて、機能通貨建の元帳を作成すればいいということにはなりません。海外現場でいわゆる恒久的設備(PE)と認定される場合は、現地で申告する必要がありますので、現地通貨建の元帳も必要となります。この場合は、一つの取引で二つの通貨の元帳に記帳するという仕組みを構築することが必要となります。

 前述の東南アジア現地法人の場合は、二つの通貨の元帳への記帳が必要になります。仕組みは次のようになります。
No6 機能通貨≒現地通貨の場合